前回は、アクリルなどの化学繊維の毛糸とアレルギーの関係について記事を書きました。
今回はその続きとして、ウール(天然素材)の毛糸とアレルギーの関係に焦点をあてて、
「チクチク」「かゆみ」の正体について深掘りしていきたいと思います。
ウールのチクチクは、繊維の太さが原因かも?
ウールの毛糸で編んだセーター。
袖を通したときに「チクチクする…」と感じたことはありませんか?
実はその“チクチク感”、アレルギーではなく、繊維の太さによる物理的な刺激が原因と考えられています。
ウールの繊維の太さはマイクロン(μm)で表され、数字が小さいほど細く、肌あたりもやさしくなります。
一般に、市販のウール毛糸は19〜24μm前後ですが、
国際的には11μm程度の“超極細ウール”から、40μm以上の太い繊維まで、品種によってさまざまです。
たとえばメリノウールは11〜24μm、コリデール(羊)は20〜30μm、
モヘア(ヤギ)は最大38μmなど、種類によって肌あたりは大きく変わってきます。
▶ 参考:Thread Collective, Understanding the Micron Count of Wool Yarns and Fibres
ラノリンによるアレルギー反応もごくまれに
ウールの“チクチク”の原因の多くは、繊維の太さによる物理的な刺激とされていますが、まれに「ラノリン」という羊の皮脂成分に反応してしまうケースも報告されています。
ラノリンは本来、毛をやわらかくしたり、保湿力を高める働きのある成分ですが、人によっては、かゆみや赤みなどのアレルギー反応が出ることもあります。
かゆみが出た場合は、ラノリンアレルギーの可能性も
考えてみるとよいかもしれません。
▶ 参照:
株式会社GSIクレオス
ニットのチクチクが苦手!その原因と快適に着る方法
加藤順子・須貝哲郎・庄司昭伸・中西健史・桑野敦子
『ラノリンによる接触アレルギー ―最近10年間の頻度と実態―』
ウール素材なら、メリノウールがおすすめです
「ウール=チクチクする」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
でも実は、ウールの中にも種類があり、“メリノウール”はチクチクしにくいことで知られています。
メリノウールは、メリノ種の羊からとれる天然繊維で、
繊維が非常に細く(15.5〜24マイクロン程度)、柔らかくて肌ざわりもやさしいのが特徴です。
さらに、以下のようなメリットもあります:
- 保温性・通気性にすぐれ、暑い日も蒸れにくい
- 吸湿性が高く、汗をかいても快適
- 防臭性もあり、アウトドアでも人気の素材
- 洗濯にも比較的強く、お手入れしやすい
ウール素材の中でも、とくに肌に触れるアイテムには、メリノウールがおすすめです。
▶ 参照:FACTELIER(ファクトリエ)メリノウールとは?特徴やウールとの違い・デメリット
メリノウールがよく使われています。
まとめ
ウール毛糸とアレルギーの関係は、調べてみると意外と「誤解」が多いようです。
チクチクする原因のほとんどは、繊維の太さや肌との相性によるもの。
もちろん、ラノリンなどに反応してしまう場合もありますが、ウール=アレルギーと決めつける必要はありません。
素材の違いや特徴を少し意識するだけで、もっと心地よく、安心して作品を身につけることができると思います。


